杉原千畝 Persona Non Grata
世界が廻っても、後悔したくない
第二次世界大戦下、「命のヴィザ」を発給し続けた一人の日本人
戦時中に日本の政府に背き、リトアニアでユダヤ難民にビザを発給した杉原千畝は、6000人の命を救い、今もなお彼が発給したビザのおかげで4万人の人が生きている。
号泣しすぎました。
一人の人間として、同じ境遇になったとき、果たして同じ決断ができるものだろうか?
映像で観ると、人間として当たり前だ、という気持ちになるが戦時中、世の中のあらゆる人が必死に生きている時、本当に人のために、世の中をよくするために、行動できただろうか?ウラジオで船にユダヤ人をのせる事を中止するよう命令された少年が「今、ユダヤ人を拒否しても、誰からも非難されません」という言葉はまさにそれを現していたのでしょう。
家族が東欧に住んでいた事もあり、何度かアウシュビッツには生きました。本当に壮絶な場所です。ユダヤ人がいまでも杉原さんに感謝するその気持ちは、我々には想像ができないかもしれないけど、正しいと思った事を、後悔しないように判断したい、そんな気持ちが強烈にわき上がります。
全編すべてがポーランドでロケされたという事もあり、映像にはすごくリアリティがありました。冷たさと厳しさが映像や俳優さんの目に浮かんでおり、思わず涙が出てしまう。キャストにも唐沢さんに小雪さん、本格的な役者さんが揃っており、英語のセリフもたくさん出てくるのに、世界観を壊さないすばらしい演技でした。
よくありがちな、日本人の失笑してしまう英語のセリフ、ではなく、いわゆるビジネス英語、駐在員の英語という感じのとてもとても素晴らしいものでした。
この映画は、本当にぜひ観てほしいです。
歴史がわかるだけでなく、明日はいいことができる人間になりたい、そんな気持ちになれます。
プレミア試写会はリトアニアでも上映されましたが、ぜひともこの映画は海外でも上映してほしいと強く思います。こういう映画がアカデミー賞の外国映画賞とかにノミネートされたらいいのに。
杉原さんは戦後外務省を辞め、ロシアモスクワの貿易会社で働いた。1985年にはイスラエル政府よりユダヤ人を救った人に送られる「諸国民の中の正義の人」の称号を授与した。1986年にこの世を去ったのち、2000年についに日本でも「勇気ある人道的行為を行った外交官」として表彰された。讃えられるまで60年もかかるなんて…もちろんサマリーマンとして、会社(外務省)の命令に背いた事自体は当時許されなかった判断かもしれませんが、結果的に人道的には絶対に間違っていなかった。シンドラーのリストで1100人の命を救ったと言われており、1994年には映画にもなり世界的に有名。杉原千畝という人物を知ったのは、2015年。外務省というのは不思議なところです。
本日12月5日(土)より全国劇場で公開!
監督 チェリングラック(サイドウェイズ、トランスフォーマー(助監督))
主演 唐沢寿明